“MY MEMORIABLE TRIP” – 記憶に残る旅 – 私の転機となったオーストラリア・ラウンドトリップ

こんにちは。YAMASHITAエギングマイスターの川上です。
今回は数ある遠征の中からStream trailのバッグと歩んだ私のMemorable trip ~記憶に残る旅~についてお話致します。
私は釣具製造メーカーYAMARIAに勤務し、江戸時代から伝わる和製ルアー、イカを釣るための疑似餌、”餌木(エギ)”を使うエギングと呼ばれるルアーフィッシングを専門に、国内外問わず、イカを追い求めて飛び回っています。
メインターゲットとしているイカは温暖な海域を好むアオリイカ。海外ではアジア圏をはじめ、東南アジア、オーストラリア、ヨーロッパ諸国で実釣、現地でエギングのセミナー
を開催し日本の“エギング”を世界へと広める活動を行っています。

2017年10月、日本とは真逆の気候の春のオーストラリアへ。
パース、メルボルン、アデレード、タスマニアの4都市で現地の釣り人を対象としたセミナーと現地での動画撮影を行ってきました。
秋は日本のアオリイカのベストシーズン。後ろ髪を引かれる思いで日本を発ち、10時間のフライトを経て最初の都市パースに到着。
実釣の動画撮影だけなら気負いは無いのですが、久しぶりの海外でのセミナー。現地のネイティブスピーカーの釣り人達の前で、司会者無しでの全て英語のプレゼンは気が重く、過去の思い出がよぎります。
私自身、YAMARIAで海外営業部に所属するまで英語は全く話せませんでした。話さなければ仕事にならない環境で揉まれ、何とか会話できるレベルにはなりましたが、当時の私のセミナーはお客様も数名、ひどい時にはゼロ…。
現地のお客様の質問には満足いただける回答が出来ず、イベント中に商品も売れず、聞きに来てくださったお客様も何とか話しているレベルの私の英語力では内容が入って来ず、何を言っているのかイマイチ分からないといった手ごたえの無いものでした。
悔しい思いをし、どうしたらお客様に喜んでいただけるか…。資料の内容・構成や伝え方、話の運びを頭を絞って考えました。
その後担当エリアが変わり、ヨーロッパや東南アジアなど他国での講習会は徐々に人が増え始め、セミナーの形になってきましたが、

英語が母国語のオーストラリアでは当時の若い頃の苦い経験しか残っていませんでした。
会場に到着すると釣具店の店内ではなく、とても大きなマリーナのホールに立派なイベントの告知。

ポスターに記載されたセミナー参加費のチケット10$。
そして横にSOLD OUTの文字…。
私の精神にダメージを与えるには十分すぎる環境です。

脳裏によぎるのは静まり返る会場、帰り始めるお客様。ネガティブなイメージしか浮かびません。

会場のドアの前に立つと、中から大勢の人の気配。
重い気持ちでドアを開けたと同時に目に飛び込んできたのは、広いホールを埋め尽くさんばかりの300名近いお客様。

続いて、驚いている私に次々にお客様が拍手、握手、歓声。
これはマズい…。絶対に失敗できない…。
頭が真っ白でこんなにも心臓の鼓動が聞こえる程に緊張したことはありません。
フラフラと壇上に向かい、Stream trailのDry Tank 40Lからノートパソコン、説明で使用するエギを引っ張り出しながら会場のお客様に目を向けると、今か今かと目を輝かせるお客様、そして私に親指を立てて励ましてくれるお客様が映りました。
「準備してくれた現地の釣具店や代理店スタッフ、何より来てくれたお客様に喜んでいただけるようにベストを尽くそう。最高の時間になるように。」と、マイクをセットし深呼吸。
そして第一声。「Thank you for coming our Squidding ,Eging talk night!」

どのくらい声が張れていたかはわかりません。震えていたかもしれません。
そこからは無我夢中の45分間。

ジョークを飛ばしながら、とにかく熱意を胸に江戸時代からのエギの歴史、お客様の悩みに答え、最後に「Thank you for your kind attention」と発した一言の後に聞こえてきたのは大きな拍手。

そして壇上に多くのお客様が来て下さり、当社品のエギを握りしめて色について聞きに来る方、私のタックルを手に取って質問する方の列が絶える事はありませんでした。

翌日はDry Tankに日本から持ち込んだエギをたっぷり詰め込んで、撮影とお客様との実釣講習会。

日本から持ち込んだイカ釣り、エギングを楽しんでいただくだけでなく、参加された現地のお客様に船上で、釣りたてのアオリイカの刺身を醤油とわさびで振る舞い、楽しんでいただきました。

この旅を通じて、釣り人の熱意や悩みは世界中共通で、釣りの楽しさ、魅力を伝える喜び、自分の熱が他人に伝わった瞬間に立ち会える事の幸せを改めて感じました。
このセミナーをきっかけに、私の中で「熱意があれば思いは伝わる」という言葉が強く刻まれ、それが確信に変わり、その後の各都市の100名規模のセミナーも成功で終えることが出来ました。

自身の大きな変化点となった、このパースでの出来事を忘れる事無く、その後も国内を始め、海外でのエギングセミナーをStream Trailのバッグと共にしています。

今も記憶に残る、私の人生に影響を与えてくれた 忘れられないオーストラリアのMY MEMORIABLE TRIPです。

著:川上 英佑

エギングマスター YAMARIA Corporation マーケティング部所属
ショアをメインにボート、カヤックからのエギングに精通するYAMASHITAエギングマイスター。エギング歴は20年に及ぶ。エギング黎明期からYAMASHITAのプロスタッフとして活動し、その活動範囲は国内外問わず幅広く、東南アジアからオセアニア、ヨーロッパ、南アメリカと世界中でエギングのスタイルでイカを狙い、現地でのエギングセミナーを開催。 分かりやすい彼のセミナーは人気が高く、海外でも多くのエギングファンが参加する。

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