“MY MEMORIABLE TRIP” – 記憶に残る旅 – 立山

2021年12月8日

6年前の11月末日、冬季閉山の日程に合わせて滑った立山は忘れられません。ちょうどその半年前に膝を怪我して初めて手術をし、リハビリと称して入山。痛みや不安を抱えたまま立山に向かったので特に記憶に残っています。その頃、まだ山スキーを始めたばかりのひよっこの私は、秋の立山はこの時が初めて。トロリーバスとロープーウエイとケーブルカーを乗り継ぎ室堂に着くと、雪解けの残雪残る春の立山の景色とは全く別物の景色が広がっていました。シーズン中は毎日雪上に立ち、毎日レッスンしてスキー教師の仕事をしている私ですが、山スキーの領域は完全に趣味です。自分のスキーヤーとしてのスキルを上げるためのフィールドであり、スキー本来の楽しさや厳しさを教えてくれる大切な空間。頑張って登った分だけ、極上の景色と最高の雪が待ってくれている。そんな大自然に身を委ね、楽しさも怖さも背中合わせの山を知ることで、スキー技術向上や技術維持の大切さ、探究心を持ち続けさせてくれます。

初日は残念ながら山はすっぽり雲の中に入り、視界も悪く移動も滑走も危険と判断し、宿のそばでみんなでビーコントレーニング。これも大切な練習です。

次の日、雲が切れて青空が広がり絶好のスキー日和となりました。そうなるともちろん、我先に目の前に広がる真っ白なノートラックの斜面を滑りに走り出たい気持ちになります。が、秋の立山はかなり慎重に斜面を選ばなければなりません。降雪が始まったばかりで雪崩の危険が大きいからです。山スキーは、必ずガイドさんや山の知識があり山を知り尽くした人と行くべきです。ご存知の通り山の天気は変わりやすく、一瞬の天候の悪化で方向がわからなくなり簡単に遭難してしまいます。雪崩にも遭難にもできるだけ遭遇したくないので、慎重にルートを選び雪質を感じながら移動開始です。山スキーの魅力は自分の滑りたい場所に自分の足で登り滑ることができることです。誰も踏み入っていないノートラックに自分のシュプールを描くことが最高の贅沢です。そんな贅沢三昧をしながら登る滑るを繰り返し、立山の美しい山並みに包まれるような場所で撮影会をしました。毎回同じような場所で写真を撮っていますが、いつも違う姿を見せてくれるのが雪山の美しさの一つです。雪の量や雪質、空の青さ、光と空気の色が、毎年毎回毎日違うのです。それが雪山に惹きつけられる魅力でもあります。